たまたま聴いていたラジオで紹介されていて興味があったので読んでみました。
そのラジオでは、コンピュータもないかなり昔に自動でチェスを指す機械が開発されて、かなりの精度で勝負に勝つが、その内部がどのような構造になっているかわからない不思議な機械だったという情報でした。
どんな真相だったのか気になりますね・・・。
1.どのような人にオススメできる本なのか
機械が好きな人や、物事がどのような仕組みで動いているのか等を考えたりする人には興味深く面白く読めると思います。
また、内容はミステリーっぽく語られていくので、どのような結末なのか推理小説のように読むこともできます。
そして、昨今のAI将棋や人間と機械とのゲームの対決など、コンピュータにおける対人戦などを考える上でも知っておいて損のない歴史が学べます。
2.今の自分にはどう感じたか
自分は実は洋書が苦手で、登場する長いカタカナ名の人物がなかなか覚えられず物語に没頭できないという短所があります。
また、小説や実用書は好きなのですが歴史書は苦手だったりします。
この本は基本的に史実なので時系列で語られていくのですが、カタカナの登場人物と機械や発明家について淡々と説明が続くので、自分にとって読了は難航しました。
導入部はとても興味深くて、18世紀のウィーンで本当に自動チェス指し人形などというものが存在したのか、どのような仕組みで動くのか、など不思議でどういうモノなのだろう・・・とワクワクして読み始めました。
ただ、その仕組みや謎は後半まで語られず、本の大半はいつ、どのような場所で、どのような興業(チェス指し人形を一般に披露する場)が行われたか、そしてその歴史の中でどのような人物が関わって、歴史書にはどのように記載されていたのか、などの事実のみが淡々と語られます。
単に好奇心のみで読み始めた自分は、多少のエピソードは楽しく読めるものの、詳細な歴史や事細かな事実関係にはあまり興味を持てず、本の中盤は結構読み進めるのが辛かったです。
ただ、本を書くということは、事実を正確に記載して矛盾のないように年代や人物をしっかり描写することが前提ですので、書き手の苦労や大変さはとても理解できます。
自分は本にはエンタメ要素を期待してしまうので、歴史書は苦手なんだと思います。
3.印象に残った部分
18世紀という機械化が始まった頃に登場した、不思議なチェス指し人形は普通に考えたら「そんなことは機械ではできないだろう」という印象を持ちながらも、「機械化が進んできたらもしかして可能なのかも」という絶妙なバランスで大衆から見られていました。
これは現代も含め、どの時代でも新製品が出るたびに感じる感情です。
ガラケーが出始めの頃も、スマホが出始めの頃も、モーターショーなどでコンセプトカーなどが展示されるときも感じていました。
人間と技術が進化していく過程では、無理と思われていた機械や製品が登場して、ホントにそんなことができるのかな?とかどんな仕組みになっているんだろう?とワクワクすることもたくさんあります。
でもその反面、実はインチキだったり人間の心理をうまく付いたトリックだったりすることもあります。
それは古代であっても、昭和や平成などの一昔でも同じだなぁ・・・と考えさせられました。
4.まとめ
あまり詳しく書くとネタバレになるので避けますが、この自動チェス指し人形「ターク」という機械は制作者の死後も別の人の手に渡り、まさしく時代を超えて様々な場所や国で語り継がれることになります。
人間が持つ純粋な好奇心は、今も昔も多くの人を動かす原動力になっていて、それは手品やマジックのようなエンタメであったり、生活の日常にある便利な機械であったりします。
普段はなかなか機械を作る側の人の気持ちなどをイメージすることはないのですが、この本の中では制作者としての考えや苦悩など、エンジニアの発想のウラ側を垣間見れたような気がしました。
当時は無理と思われていたAIチェスやAI将棋などが現在実用化されているのを見ると、現代で無理と思われている技術も、100年後などには実現されているかもしれないと思うと少しワクワクしますね。