前編と中編では検察審査員の候補者として選ばれた場合にどのように質問票を回答すべきかについて触れました。
後編では実際に検察審査員の活動をしてみた感想を書いてみます。
検察審査員の候補者になって質問票を返送した後は、辞退が認められるか、辞退しなかったけど最終的に検察審査員に選ばれなかった、のパターンはここで完了です。
検察審査員か補充員に選ばれた場合は、検察審査会に出席の依頼が郵送されます。
ちなみに、検察審査員と補充員の違いは検察審査会の中で議決権を持つかどうかの違いになります。
検察審査会は審査会議が有効と認められる最低限の人数（検察審査員の出席人数）が決められていて、それに満たない場合は無効になってしまいます。
みんな忙しい中、決められた日時に検察審査会に出席したのに欠席者が出て一人足りないだけで何もせず解散というのも無駄なので、そのような場合に備えて補充員を確保しておく感じです。
ですので、補充員といっても検察審査員と同様に全ての会議に参加する義務があります。（欠席者が出たときだけ呼ばれるのではなく、任期中は全ての会議に出席します）
会議は前回の続きで進む場合があるので、前回出席していないと今回の臨時で出席しても内容を理解できないからです。
自分は補充員として活動しましたが、参加したうちの一回は検察審査員の一人が急病で欠席となったため、検察審査員として会議に参加しました。
検察審査会は何か事件が起きて、被害者が刑罰を望むのにに検察で不起訴になってしまっ場合に不起訴が妥当かどうかを再度審査を依頼する場となります。
例えば、交通事故の被害にあって、加害者が罰せられると思っていたのに検察で加害者の過失が認められず不起訴になった場合などです。
事件の審査というと専門的な知識がないと難しいのでは・・・と思うかもしれませんが難しい用語や会の議論の進めかたは裁判所の職員がアドバイザー的にサポートしてくれます。
あくまでも事件の概要や背景を読み込んで、一般市民の感情だったり常識的に考えて意見を出し合う場と考えてもらえばOKです。
自分が任期の半年間、検察審査会に参加して思ったことは以下の通りです。
■メリット
・交通費や足代としての日当が支払われる
※有休を使わずに会社を休めるため、臨時収入を受け取ることができる
・様々な事故や事件の事例などを見ることができて、今まで知らなかった知識を習得できる。
・検察審査員は様々な年齢・性別・職業の人が集まるので、いろいろな視点の意見が聞けて参考になる。
■デメリット
・指定された平日の一日を会社を休んで参加する必要がある。
（開催日は概ね一ヶ月前くらいには判明します）
・他の検察審査員の人とはみんな初対面なので、人と話すのが苦手な人や人見知りの人は会議に参加するのが苦痛にに感じる可能性もある。
ちなみに自分が参加した感応としては、月に一回程度の開催なので自分の仕事にはあまり影響がなくて臨時収入となるのでメリットの方が大きいと感じました。
また、一般的な会社員なら普段から会議とかに慣れていると思いますので、そんなに負担に感じなかったです。
あと、自分の場合は検察審査員の補充員の任期途中で会社を退職したため、任期の後半はハローワークに通って失業給付を受けていたのですが、その場合は何点が注意が必要かと思います。
■ハローワークの認定日と検察審査会が同一日に開催された場合の対応方法
自分の場合は検察審査会とハローワークの認定日が重なることがなかったですが、万が一のために重なった場合の対応方法を検察審査会の担当者に確認しておいた方が良いと思います。
■検察審査会参加の報酬が失業給付の減額対象となる可能性
ハローワークの認定日には給与収入のあり・なしに関わらず、何らかの労働やボランティアを行った日を自己申告する必要があります。
（無給のボランティア活動をした場合なども報告義務があります）
検察審査会への参加報酬は厳密に言えば労働対価（給与収入）ではないため、ハローワークに申告する必要があるのかどうか微妙なところではありましたが、後から失業給付の不正受給とか罰則を受けても嫌なので、自分は検察審査会の参加と報酬についても正直に記載して申告しました。
自分の場合は検察審査会に参加した期間はたまたま、失業給付の最初の２ヶ月で給付の待機期間だったため、失業給付の額に影響はありませんでした。
しかし、ハローワークの担当者によると、待機期間でなければ失業給付の減額対象になると言っていました。
自分としてはこの担当者の判断の真偽はわかりませんが、もし自分が待機期間でなければ検察審査会の担当者に相談していたと思います。
どうも、ハローワークの担当者はこのようなレアケースの対応ルールを完全に熟知しているワケではないため、まずは検察審査会側の判断を仰ぐのが良いかと思います。
ただ、結果的に待機期間であったため自分の場合は何も影響はなく失業給付を受けられました。
以上、自分の検察審査員・補充員になった経験と感想を書いてみました。
どなたかの参考になれば幸いです！